山形県衛生研究所では、感染症予防の観点から、山形県民の皆様が病原体に対してどのくらい抗体をもっているか調査をしています。令和6年度は、水痘帯状疱疹ウイルスに対する抗体調査を行いましたので、結果を報告致します。
今年度の調査における、年齢群別の水痘帯状疱疹ウイルスのEIA抗体保有状況(人数)を図1に、EIA抗体保有率を図2に示した。検査キットの添付文書に従い、EIA抗体価が4.0以上の場合は抗体陽性、EIA抗体価が2.0未満の場合は抗体陰性、EIA抗体価が2.0以上4.0未満の場合は判定保留としました。
本調査においてEIA抗体価4.0以上の抗体保有率は全体の92.6%でした。年齢群別では、2-3歳、15-19歳、40-44歳、40-54歳、55-59歳、65-69歳、70歳以上で最も高い抗体保有率(100%)を示し、次いで25-29歳(95%)、60-64歳(94.1%)、35-39歳(92.3%)、45-49歳(92%)、20-24歳(90.9%)が90%以上でした。抗体保有率が最も低い年齢群は4-9歳(50%)でした。抗体価が2.0未満の抗体陰性者の割合は、全体の1.3%でした。抗体陰性者の割合が最も多い年齢群は、4-9歳(33.3%)であり、次いで10-14歳(8.3%)でした。
水痘とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。水痘は主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。2014年10月以降、生後12か月から生後36か月に至るまでの間にある方を対象に水痘ワクチンが定期接種化され、水痘患者報告数は減少しています。水痘は成人が罹患すると重症化することや、妊婦が感染すると胎児に先天性感染を引き起こすこともあるため、接種歴・罹患歴が確実でない場合にはワクチン接種が勧められます。また、近年の水痘患者の減少に伴い、帯状疱疹患者の増加が指摘されています。2025年度から、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が定期接種化されました。今後も抗体保有率の推移を把握していくことが重要であることから、県民の皆様のご協力を引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。
今回の調査に関しては、2-3歳(2名)、4-9歳(6名)、10-14歳(12名)、15-19歳(2名)、20-24歳(11名)、25-29歳(20名)、30-34歳(23名)、35-39歳(26名)、40-44歳(23名)、45-49歳(25名)、50-54歳(30名)、55-59歳(26名)、60-64歳(17名)、65-69歳(4名)、70歳以上(2名)、合計229名の県民の皆様にご協力をいただきました。どうもありがとうございました。また検査の実施にあたっては、保護者の皆様・関連医療施設のスタッフの皆様のご配慮をいただきました。あわせて御礼申し上げます。
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